いくらなの？

昨日は『ワインの試飲会をするよ』という事で営業が始まった。

いつも通り、オーナーがメニューには無い料理を作りだし試飲会がスタート。
当然、オーナーも試飲会に参加している。

オーナーのお客さんだったので、前に書いたようにフォローする事を心がけていた。

フレンチのお店ポワンルージュにはワインがたくさんあるのだが、私にはさっぱりわからない。

何ちゃらかんちゃらと言いながらグラスにワインを注いでいる。

ああ、ボトルでワインを購入なのね。
こりゃ計算が楽でいいなと思いながら私はグラスを洗っていた。

しばらくするとオーナーはポワンルージュに呼ばれて、戻って来た時には別のお客さんも連れて来た。

今度はそちらのお客さんにもワインを注ぎだす。

ん？するとお会計はどうなるの？

更にお客さんは増えたので聞くタイミングを失ったまま時間は過ぎていった。

ようやくチャンス到来。
「あのワインはいくらなの？」

書き忘れていたがオーナーと私は中学の同期なのでタメ口である。

「あれは持ち込みだからいいんだ。」

ふーん、そうなんだ。
やっぱり今日のお会計は楽でいい。

しばらくして落ち着いた時に、私は大体の料金を計算していた。

安すぎる！！
料理の値段は聞かないとわからないが、それでも安すぎる。

特にオーナーが後から連れてきたお客さんは全く注文していない。
オーナーが勝手にワインを注いで、勝手に料理を出している状態である。

こんなんじゃ私の給料が危うい。
オーナーもかなり酔っぱらっている。

思考能力が無くなる前に聞かないと！！

伝票を持ってその事について聞いた。
「そうだな。じゃ大体このくらいもらって。」

本当にいいの？
それでも安いような気がするが、もうワケがわからない。
オーナーがいいと言えばいいのだが......。

その後、私のお客さんだけになりオーナーが先に帰る事になったのだが、その頃には物は落とすし歩けば何かにぶつかるしで、ぐでんぐでんに酔っぱらっていた.....。


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